漫画「四月は君の嘘」感想:宮園かをりの生き方が切ない【ネタバレ有】

「四月は君の嘘」感想のアイキャッチ画像
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アニメ化・映画化もされた大人気漫画「四月は君の嘘」を今更読んだら、アラサーの枯れた心に潤いが戻ってきたので全力で感想を書き綴ります。

感想の要点
  • 漫画から音楽が聞こえてくる感じがして引き込まれる
  • 主人公の心の成長、お互いを高めあうライバル関係、優しく見守る幼馴染、少年漫画って感じで好きだ!
  • ヒロイン宮園かをりの生き方が切ない。最終回読んでから漫画もう一周したら色々心情慮れて辛い。なんで手紙残したか賛否両論だけど最後のワガママくらいいいじゃないか ←感想ほぼコレ
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「四月は君の嘘」あらすじをざっと紹介するよ

「ヒューマンメトロノーム」と称されるほど完璧な譜面通りの演奏をすることで、かつてピアノコンクールの優勝を総なめにしていた、元天才ピアニスト有馬公生。彼は11歳の秋に母を亡くしてから、演奏中に「ピアノの音が聞こえなくなる」という症状に見舞われ、ピアノが弾けなくなっていた。

単調でモノクロな日々を過ごしていた14歳の春、破天荒なヴァイオリニスト宮園かをりと出会う。

彼女は楽譜の指示を無視し、自分の弾きたいように音楽を奏でる個性的な演奏者であるだけでなく、その振る舞いは天真爛漫・傍若無人。強引に公生を伴奏者に任命するなど、ピアノから遠ざかっていた公生を再びピアノに向き合わせるのだった。

かをりの伴奏、コンクールへの出場、母の親友である指導者・紘子との再会、母の想い、ライバルの演奏や幼馴染たちの支え……かをりとの出会いをきっかけに、公生の日々は次第にカラフルに色づいていく。

一方、かをりは病魔に侵され、公生を伴奏者に従え出演するはずだった藤和ガラコンサート当日、会場に姿を現さず入院していた。

☆この先ネタバレあるからその前に本編読んでおきたくなった人は読んでおいて!

☆アニメでも良いと思うよ!

「四月は君の嘘」の見どころはココ

ボーイミーツガール漫画の王道って感じの「四月は君の嘘」。ストーリーの展開も少々先が読めてしまう感じではあるのですが、それでも作品に引き込まれてしまう理由は、これから挙げる見どころにあると思っています。

音楽が聞こえてきそうな演奏シーンがすごい

あの「ワンピース」の作者である尾田栄一郎氏が称賛したことでも有名なこの漫画。演奏シーンの臨場感は、実際に音楽が聞こえてくるかのような錯覚を覚えるほど迫力があります。

大小のコマのタイミングだったり、演奏者の視線や表情、鍵盤と指先のアップ、ピアノの内部構造、観客の表情など、音楽そのものを描かずしてここまで浮き彫りにしてくるかってくらい、圧倒されるんです。

わりかし有名な曲が選ばれているので、脳内BGMと描写がマッチして、読んでいて心地いいんですよね。これが画力ってやつでしょうか。

※ 作中で演奏されている音楽については、講談社の公式YouTubeでも聴くことが出来ます。

スポットライトの描写が演奏者の緊張感をよく表している

演奏場面で印象的なのが、ステージ上のスポットライト装置が描写されているところです。毎報音楽コンクールの時に、かをりが公生に「星は君の頭上に輝くよ」と言って以来かな、星の比喩としてこのスポットライトが描かれています。

このスポットライト、かをりからの勇気づけを思い出させると同時に、演奏者の緊張感をよく表現してるなと思います。

実際ステージに立つと、観客席は暗くてよく見えないのに対し、自分の頭上ばかりがやたら明るく感じるんですよね。「ああ、この空間で光が当たっているのは自分だけなんだ。みんな自分を見ているんだ」って思えてきて、もれなく緊張感で吐き気を催すものです。

そういうリアリティが良く描かれています。

公生のトラウマの克服と成長

幼い公生に対する実母の音楽指導は、行き過ぎているくらい厳しいものでした。それでも、病気で弱っていく母に少しでも喜んでもらいたい一心で公生は練習に励み、コンクールの優勝をかっさらいまくります。

しかしある時、公生の気持ちが母に通じず、思わず言ってはいけない言葉を口にしてしまいます。直後に母の容体は急変。そのまま帰らぬ人に。それ以来、公生は「ピアノの音が聞こえない」という症状を訴え、ピアノから遠ざかってしまうのです。

かをりとの演奏や紘子からのアドバイスで、公生は母の本当の気持ちに気づき、トラウマを克服していくのですが、かをりが倒れたことで、公生は再び大切な人を失う恐怖と闘わなければならなくなってしまうんです。

一度ふさいだはずの傷を再度えぐられる感じ。最終回1話手前のコンクールでの演奏まで、公生の苦しみもがく感じが読んでいて胸を締め付けられるようでした。不穏な展開を予感させる黒猫の描写と言い、冷たさの描写と言い、本当に「早く公生を幸せにしてあげて」って願わずにはいられません。

でも公生、立派な男の子でしたね。ピアノを弾くことで不安を克服しました。誰かを思い、誰かのために演奏をするごとに成長していってます。演奏中の心の葛藤の描写が、緊張感と相まって胸に突き刺さって来るんですよね。

お互いを高めあうライバル関係

公生が再びピアノコンクールへの出場を決めると、公生をライバル視する2人のピアニストが現れます。相座武士と井川絵見。

実はこの二人、幼いころに公生の演奏を聴いてピアニストを志した、筋金入りの公生ファン。でもそれぞれ公生のどこに惹かれたかが違っているというのが面白いんです。

「ヒューマンメトロノーム」な一音たりとも違えない鉄壁の演奏に惹かれた武士と、公生初めての舞台でのカラフルに色づいた演奏に心奪われた絵見。3年の空白を経てコンクールの舞台に戻ってきた公生の演奏は、このライバル2人にもそれぞれ成長を促す影響を与えます。

ライバルと言ってもいがみ合うのではなく、お互いの良さを認めて影響を与え合いながら高みを目指していく様子が、とてもキラキラしていてアラサーの目には少し眩しいくらいでした。

いいよね。若人が未来に向かって悩みつつも進んで行く姿。純粋に描き切られてしまうと、応援せざるを得ないんだよなぁ。

幼馴染2人の公生を見守る様子に優しい気持ちになる

この漫画、主人公を見守る人々の視線がとても温かくって、読んでいて優しい気持ちになるんです。幼馴染の椿ちゃんと渡くんの公生を思う気持ちなんて、音楽関係者でないからこそ、公生をより一人の男の子として見守っている感じがしてほっこりします。

特に渡くん。公生の「お願いがあるんだ」に対して「いいよ」と内容も聞かずに即答するあたり、男前すぎです。惚れました。

ヒロイン:宮園かをりの生き方が切なすぎる

この漫画のヒロインである宮園かをり。最初の登場シーンから「ん?」と思える謎の多い彼女ですが、最終回での公生に宛てた手紙の中で、彼女の本当の想いが語られます。なんとも切ない彼女の生き方に、涙なしでは読み進めることはできません。

少年漫画のヒロインならではのキラキラ感満載の序盤

少年漫画のヒロインって、男性から見た理想の女の子像が描かれているせいか、やたら可愛くてキラキラしている子が多いですよね。

「四月は君の嘘」のヒロイン宮園かをりも、少年漫画のお約束に違わずめっちゃ魅力的。サラサラロングヘアーの可愛いお顔に「私、ヴァイオリニストなの」とお嬢様っぽい特技、きゃぴきゃぴした明るい性格、そして少々(多分に?)ワガママで強引で暴力的。そして時折見せる涙やか弱さ。

公生曰く「ジェットコースターみたい」なその人物像に、公生はもちろん、読者もぐいぐい惹きつけられていきます。

病気で助からない運命?不穏さを醸し出す中盤以降

そんな明るい魅力満載のかをりですが、割と序盤の方から通院している様子や、大量の薬を服用している様子が描写されています。公生と初の共演を終えた後に倒れてしまったりと、なんだか心配な様子。

公生と読者の心配は、藤和ガラコンサート当日にかをりが姿を現さないところから急加速します。

かをり自ら小説「いちご同盟」(主人公の男の子がピアノを習っている。ヒロインが病気で亡くなる)の一説をセリフに引用するなど、病気で助からない運命を示唆する様子がうかがえます。この頃にはもう、序盤で見せていたキラキラした明るさはかをりから感じられなくなっているんですよね。

ヴァイオリンも弾けず、次第にモノクロになっていくかをりの世界。戻ってこられない暗黒の世界に進もうとするかをりを、今度は公生が自らの演奏によってカラフルな世界に引き戻そうとします。

公生の気持ちが通じ、かをりはリスクの大きい手術を受けることを決意。公生の進学を賭けた東日本ピアノコンクール本選の当日に、かをりは命がけの手術を受けることになります。

最終回:公生に宛てた手紙で、すべてをさらけ出すかをり

コンクールの後、墓地でかをりの両親から一通の手紙を渡される公生。そこには、かをりの今までの本当の思いがつづってありました。

かをりは実は、4歳のときからの公生ファン。公生に伴奏をしてもらいたくて、習い事をピアノからヴァイオリンに変えていたこと。同じ中学に入学出来て喜んでいたこと。なかなか公生に近づけなかったこと。自分の命が長くないことを知り、公開を天国に持ち込まないよう、好きなように走り出したこと。一つだけ嘘をついたこと。公生のことが好きだということ。

これでもかというように、かをりの本当の気持ちが綴られていく手紙に、公生はもちろん、読者も涙なしには読み進められません。

いや、知ってたよ?君の本当の気持ち。だいたい読めてたよ。でも、そんな風に切々とまっすぐに伝えられちゃうと、ピュアさを無くしかけた大人の涙腺は耐えられないんだよー。

かをりの手紙を読んだ後に1巻から読み返すと胸が締め付けられる

宮園かをりの言動は、初めに読んだときはちょっと謎が多い感じなんですけど、最終回の手紙を読んでから読み返すと、「こういう心境だったのか」と納得する一方、胸が締め付けられます。

物語序盤でのかをりの破天荒な言動、常に楽しそうな笑顔、そういったものは、すべて「後悔しないように生きる」という彼女の決意の表れだったんですね。今を精一杯楽しんで生きている姿だったから、あんなにも強烈にキラキラしていたのでしょう。

物語でも繰り返し登場する「きらきら星(変奏曲)」。それはキラキラと命を燃やすかをりの姿そのものだったのかもしれません。

一方で、自分らしい演奏をすることで、誰かの心に生き続けたいと願うかをり。かをりが演奏を始める前には必ず「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」と謎の(厨二病的な)呪文を唱えています。決して悪魔の召喚呪文ではなく、「神様、私の声を聴いて」という意味らしいですね。神様や一人一人の聴衆の心に語り掛けていると考えると、いかにかをりが1回1回の演奏に魂を込めていたかが分かります。

演奏のたびに「これが最後かも」と思っていたのかもしれないですよね。最後の演奏が、大好きな憧れの公生との演奏で本当に良かった。

生きるための手術を決意したかをりが、なぜ遺書めいた手紙を残したのか

様々な感想・考察ブログ(特に否定派)でも指摘されているのが「かをりは生きるために手術したのに、なんで遺書を用意していたの?」という点。これには以下の理由が考えられると思っています。

  1. リスクの大きい手術だから
  2. 手術が成功すれば、手紙は渡さないつもりだった
  3. 手術が成功しても、言葉では素直に伝えられない気持ちを手紙で公生に伝えるつもりだった

単純に、①の理由だったんじゃないかなと思っています。お医者さんからも危険性については説明されていましたしね。

それに自分の本当の気持ちを好きな人にはきちんと伝えておきたいっていうところ、中学生らしくていいじゃないですか。

だってかをりは、自分の運命を受け入れているから、公生の恋人にはなろうとしていない。公生が自分のために演奏をしてくれたと分かっても、自分はいつまでも側にいられるわけでは無いことを自分に言い聞かせているんです。チャーリー・ブラウンの言葉を引用して。

公生に対して散々言いたい放題したけど、一番言いたいことは言えない苦しみにあった彼女の、最後の素直な気持ちがすべてあの手紙に凝縮されていたんです。しかも、見返りは求めていない。ただ、忘れないでいて欲しい(あ、これはある意味見返りか)。

手紙でかをりの本心を知ることも、残された公生にとっては救いだったんじゃないですかね。かをりの本心を分からないでいるよりも、きちんと知っていたほうが、いつか公生の気持ちにきちんと区切りを付けられるんじゃないかな。あの手紙にはそういう優しさもあったんじゃ、いや、ないかー、中学生だもんなー。

「四月は君の嘘」はピュアな心を取り戻させてくれる名作だよ

だらだらと書き連ねましたが、「四月は君の嘘」は大人の枯れた心にピュアな感動と潤いを与えてくれる名作だと思っています。

まだ読んでないけどこんなにネタバレ満載の感想文読んじゃった人も、ストーリー知ってても感動できるから騙されたと思って読んでみてください。

もう読んだことある人も、どうか1度と言わず、2度3度と読んでください。一人一人のキャラクターが立っているから、読むたびに色んなキャラの心情に心打たれるはず。相座兄妹いいよ。特に兄。

☆漫画はこちら

☆外伝も出ています。絵見ファン必見。これ読んだらまた本編読みたくなるよ!

☆アニメはこちら

☆小説版もあるよ。色んなキャラの視点で公生について語られるよ。

☆実写映画にもなったよ

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